はじめに:再スタートでは「誰の情報を信じるか」が重要です
こんにちは。PCS(Profit Creation System)編集部です。
この記事をご覧になっている方の中には、一度会社を閉じた方、赤字法人を整理した方、廃業後にもう一度事業を始めたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
再スタートを考えたとき、インターネット上にはさまざまな情報が見つかります。
- 法人を作れば信用が得られる
- 補助金を使えば負担を減らせる
- 融資を受けて事業を始められる
- 法人向けサービスを活用すれば収益を作れる
- SNSやAIを使えば低コストで集客できる
こうした情報の中には、役に立つものもあります。
一方で、制度の利用条件や法人の維持費、契約上の制限、税金、社会保険などが十分に説明されていない情報も少なくありません。
特に注意したいのが、「法人を作るだけで必ず稼げる」「誰でも簡単に収益が得られる」といった断定的な表現です。
PCSが目指しているのは、関わるすべての事業者・経営者に、収益を生み出すきっかけを提供することです。
法人設立は、そのための手段の一つです。
しかし、新たな収益機会を事業として継続するためには、信頼できる情報源を確認し、自分の状況に合うかを判断する必要があります。
この記事では、会社を閉じた経営者や再起業を考える方が、法人設立、税務、社会保険、資金調達、経営支援、広告表示などを調べる際に確認したい10の情報源をご紹介します。
1.法務省・法務局
法人設立や会社登記を確認するための情報源
株式会社や合同会社などを設立するときは、法務省・法務局の公式情報を確認します。
商業・法人登記のページでは、株式会社や合同会社の設立、役員変更、本店移転、解散、清算結了などに関する申請書類や手続きを確認できます。株式会社や合同会社の設立では、法人設立ワンストップサービスを利用できる場合もあります。
公式URL
法務局「商業・法人登記申請手続」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/touki2.html
法務省「株式会社の設立手続について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00134.html
PCSでの活用方法
法人設立を検討する際は、「設立できるか」だけでなく、次の点を確認してください。
- 法人でなければ実現できない事業なのか
- 個人事業から始める方法はないか
- 株式会社と合同会社のどちらが適しているか
- 設立費用と毎年の維持費を負担できるか
- 過去に経営していた法人との関係が整理されているか
- 設立後に必要となる届出を把握しているか
PCSでは、法人設立をゴールとは考えていません。
法人は、収益を作るために利用できる手段の一つです。
2.国税庁
法人税や税務手続きを確認するための情報源
法人を設立すると、法人税、地方法人税、消費税、源泉所得税などの申告や納付が関係します。
国税庁の法人向けページでは、法人税の申告、届出書、税務上の取り扱い、法令解釈などを確認できます。
公式URL
国税庁「法人の方」
https://www.nta.go.jp/users/hojin/index.htm
国税庁「法人税、地方法人税及び防衛特別法人税」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/hojin/hojin.htm
国税庁法人番号公表サイト
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
PCSでの活用方法
新たな収益の仕組みを検討するときは、売上額だけではなく、次の点も確認します。
- 売上にどの税金が関係するか
- 消費税の課税関係はどうなるか
- 役員報酬をどのように設定するか
- 経費として処理できる範囲はどこまでか
- 契約内容と実際の取引内容が一致しているか
- 確定申告や決算を誰が行うか
「法人なら何でも経費になる」という考え方は危険です。
取引の実態や事業との関連性を確認し、不明な点は税理士または税務署に相談しましょう。
3.日本年金機構
健康保険と厚生年金を確認するための情報源
法人を設立すると、健康保険と厚生年金保険への加入が関係します。
日本年金機構は、すべての法人事業所について、事業主だけの場合を含め、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になると案内しています。実際の加入や報酬の取り扱いについては、個別の状況を確認する必要があります。
公式URL
日本年金機構「適用事業所と被保険者」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html
日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20130502.html
PCSでの活用方法
法人を活用して毎月一定の売上を得られる場合でも、次の費用を差し引いて考える必要があります。
- 健康保険・厚生年金保険料
- 法人住民税
- 会計ソフトや税理士の費用
- 銀行口座や決済サービスの利用料
- 本店所在地や事務所の費用
- 通信費や事務管理費
- 外注費や人件費
PCSでは、売上の大きさだけではなく、最終的にいくら利益が残るのかを重視します。
4.中小企業庁
中小企業向け支援制度を確認するための情報源
中小企業庁では、補助金、金融支援、税制優遇、事業承継、経営相談など、中小企業向けの支援情報を公開しています。
公式URL
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/
中小企業庁「支援策チラシ一覧」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/support.html
中小企業庁「補助金の公募・採択」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/index.html
PCSでの活用方法
再スタート時には、次のような情報が参考になります。
- 創業・再挑戦に関する支援
- 販路開拓に関する補助金
- 経営改善や事業再生の支援
- 資金繰り対策
- 事業承継・M&A支援
- デジタル化や生産性向上の支援
ただし、補助金は売上ではありません。
補助金を受け取るためだけに事業を作るのではなく、収益が継続する事業を構築したうえで、その取り組みを支援する制度として活用しましょう。
5.J-Net21
経営情報を分かりやすく調べられる公的ポータルサイト
J-Net21は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業向けのビジネス支援サイトです。
補助金、融資、税制優遇、セミナー、経営事例、起業マニュアルなどを無料で確認できます。
公式URL
J-Net21
https://j-net21.smrj.go.jp/
J-Net21「支援情報ヘッドライン」
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi2/
PCSでの活用方法
何から調べればよいか分からない方は、次のテーマから確認してみてください。
- 起業準備
- 事業計画
- 補助金・助成金
- 融資
- 販路開拓
- 契約・法務
- 会計・税務
- IT・デジタル活用
J-Net21で制度の概要を把握した後、実際に申請するときは、各制度を担当する省庁や自治体の公式ページで最新の公募要領を確認してください。
6.よろず支援拠点
経営課題を無料で相談できる公的相談窓口
よろず支援拠点は、中小企業庁が全国に設置している、中小企業・小規模事業者などのための経営相談所です。
売上拡大、販路開拓、経営改善、事業承継、IT活用など、幅広い相談に対応しています。地域ごとに運営機関や相談体制が異なるため、所在地の都道府県にある拠点を確認してください。
公式案内URL
中小企業庁「よろず支援拠点」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/network/yorozu.html
PCSでの活用方法
相談するときは、「何か儲かる仕事はありませんか」と尋ねるだけではなく、次の情報を整理して持参すると効果的です。
- 過去に行っていた事業
- 法人を閉じた理由
- 現在の収入と支出
- 保有している経験・知識・人脈
- 今後避けたい経営リスク
- 必要としている毎月の収益額
- 検討している事業や収益方法
自分一人では気づけなかった強みや課題が見つかる可能性があります。
7.商工会・商工会議所
地域で事業を再開する際の身近な相談先
商工会議所では、創業、経営改善、融資、補助金、事業承継、専門家相談などの支援を行っています。
対象地域で事業を行っている方や創業を予定している方は、法人・個人を問わず、原則無料で経営相談を利用できる場合があります。
公式URL
日本商工会議所
https://www.jcci.or.jp/
日本商工会議所「経営相談」
https://www.jcci.or.jp/support/soudan/index.html
全国商工会連合会
https://www.shokokai.or.jp/
PCSでの活用方法
商工会・商工会議所では、次のような相談ができます。
- 創業計画・事業計画の作成
- 融資制度や補助金の案内
- 記帳・税務の基本
- 地域の事業者との交流
- 販路開拓
- 事業承継
- 専門家への相談
地域の支援制度は、自治体によって内容が異なります。
全国向けの情報だけでなく、事業を行う地域の商工会や商工会議所にも確認してみましょう。
8.日本政策金融公庫・信用保証協会
再起業や創業時の資金調達を確認する情報源
日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金」を案内しています。
廃業歴などがあり、創業に再チャレンジする方に向けた案内も設けられています。
公式URL
日本政策金融公庫「創業融資のご案内」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/sogyoyushi.html
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
全国信用保証協会連合会
https://www.zenshinhoren.or.jp/
PCSでの活用方法
融資を検討する前に、次の数字を明確にしてください。
- 必要な資金はいくらか
- 何に使用するのか
- その支出がどのように売上につながるのか
- 毎月の返済額はいくらか
- 売上が計画を下回った場合に返済できるか
- 固定費をどこまで抑えられるか
- 借入をせず、小さく試す方法はないか
融資は収益ではなく、返済義務のある資金です。
過去に資金繰りで苦しんだ経験がある方ほど、「いくら借りられるか」ではなく、「無理なく返せるか」を優先しましょう。
9.各サービス運営会社の公式サイト・利用規約
法人向けサービスを収益に活用する際の最重要情報源
PCSでは、法人だから利用できる契約、サービス、アカウント、取引機会などを、収益創出のきっかけとして研究しています。
ただし、法人契約ができることと、その権利やアカウントを第三者へ自由に貸与できることは別問題です。
ECモール、求人サイト、広告サービス、決済サービスなどを利用するときは、必ず各事業者の公式サイトと利用規約を確認してください。
確認すべき項目
- アカウントの第三者利用が認められているか
- 名義貸しに該当しないか
- 利用権や掲載権の譲渡が認められているか
- ログイン情報を共有できるか
- 運営業務を再委託できるか
- 代理運用に事前承諾が必要か
- 売上金や報酬を誰が受け取る契約か
- 個人情報の管理責任は誰にあるか
- 契約違反時の損害賠償責任はどうなるか
PCSで推奨する確認手順
- 公式サイトの利用規約を読む
- 譲渡、貸与、再委託、代理運用の条項を確認する
- 不明点を運営会社へ書面またはメールで問い合わせる
- 許可された内容を契約書に明記する
- 業務内容、責任範囲、報酬、解約条件を確認する
- 税理士や弁護士などの専門家にも確認する
利用規約に反する名義貸しやアカウント貸与は、利用停止、報酬の未払い、損害賠償などにつながる可能性があります。
収益額よりも先に、契約上問題がないかを確認する必要があります。
10.消費者庁・公正取引委員会
広告表示や取引条件を確認するための情報源
商品やサービス、収益機会を紹介する場合は、景品表示法や広告表示に注意する必要があります。
広告や紹介料が発生するにもかかわらず、それを明示せず、第三者の中立的な評価のように見せる表示は、ステルスマーケティングとして問題になる可能性があります。
また、事業者間の業務委託では、取引条件、報酬、支払期日、業務内容などを明確にすることが重要です。公正取引委員会は、フリーランスとの取引適正化に関する情報も公開しています。
公式URL
消費者庁「ステルスマーケティングに関する表示について」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/
公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた取組」
https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html
PCSでの活用方法
収益事例やサービスを紹介する際は、次の情報を明示します。
- 誰が利用できるのか
- 法人であれば無条件に利用できるのか
- どのような作業が必要か
- 初期費用や維持費はいくらか
- 契約期間や解約条件はどうなっているか
- 同じ結果を保証するものではないこと
- 紹介報酬や広告料が発生するか
- 利用規約に適合しているか
PCSが収益事例を紹介する場合も、数字だけを見せるのではなく、その数字が成立する条件、必要な費用、作業、リスクを合わせて説明することを基本方針とします。
信頼できる情報源を活用する3つの手順
1.公式情報で事実を確認する
まず、官公庁、公的機関、サービス運営会社の公式ページで、法律、制度、契約条件、費用を確認します。
SNS、動画、ブログの記事は参考資料として利用できますが、最終判断の根拠には公式情報を使用してください。
2.自分の状況に置き換える
同じ制度や収益方法でも、すべての経営者に適しているわけではありません。
次の状況によって、選ぶべき方法は変わります。
- 過去の法人の整理状況
- 現在の資金
- 信用情報や借入状況
- 保有している経験や人脈
- 家庭や生活の状況
- 必要な毎月の収益
- 許容できるリスク
3.小さく試して数字を確認する
最初から大きな費用をかけず、小さく検証します。
確認する数字は売上だけではありません。
- 利益
- 作業時間
- 初期費用
- 維持費
- 税金
- 社会保険料
- 外注費
- 契約期間
- 解約リスク
- 継続可能性
毎月6万円の売上があっても、毎月の費用が5万円かかるのであれば、残る利益は1万円です。
「売上が上がる」ことと、「事業として利益が残る」ことは同じではありません。
新しい収益情報を確認するチェックリスト
新しい事業や収益方法を知ったときは、次の項目を確認してください。
- 運営会社の名称と所在地が公開されているか
- 公式サイトと利用規約を確認できるか
- 収益が発生する条件が説明されているか
- 初期費用と維持費が明記されているか
- 必要な作業内容が説明されているか
- 契約期間と解約条件が明確か
- アカウント貸与や名義貸しに該当しないか
- 個人情報の管理方法が明確か
- 税務処理について確認できるか
- 「必ず」「誰でも」「何もしなくても」と断定していないか
- 紹介者に報酬が発生することが開示されているか
- トラブル発生時の責任分担が明記されているか
- 専門家への相談を止められないか
「本日中に契約すれば安くなる」「残り一枠」などと判断を急かされた場合は、特に慎重になりましょう。
まとめ:再スタートの成否は、情報の選び方で変わります
会社を閉じた経験は、決して無駄ではありません。
資金繰りの厳しさ、売上が減る怖さ、固定費の重さ、取引先や従業員への責任を知っていることは、次の経営に生かせる貴重な経験です。
ただし、経験だけに頼るのではなく、現在の制度やサービス、契約条件を改めて確認する必要があります。
再スタートでは、次の順番を意識してください。
- 公的機関で法律・制度・税務・社会保険を確認する
- 支援機関や専門家に相談し、自分の状況を客観的に整理する
- サービス運営会社の規約で契約条件を確認する
- 小さく試し、売上ではなく利益と継続性を検証する
PCSが目指しているのは、関わるすべての事業者・経営者に、収益を生み出すきっかけを提供することです。
法人設立は、そのための手段の一つです。
法人、SNS、AI、公的制度、既存サービス、人とのつながりなど、収益を作るきっかけは一つではありません。
大切なのは、信頼できる情報を確認し、自分に合った方法を選び、無理のない範囲で一歩を踏み出すことです。
会社を閉じても、経営者として積み重ねた経験は残っています。
その経験に、正しい情報と新しい仕組みを組み合わせることで、再び収益を生み出す可能性はあります。
PCSは、経営者が次の収益を作るきっかけを見つけるための情報を発信していきます。
運営:一般社団法人 倒産回避支援中小企業協会
代表理事:佐藤 俊明
執筆・編集:協会会員 小山